辰吉丈一郎氏のボクシングテクニック
辰吉丈一郎さんと言えば、90年代を代表するプロボクサーですよね。ガードを下げたあのスタイルは、まるで漫画のあしたのジョーの矢吹丈を彷彿させるようで、とてもスリリングでしたね。
その発言も当時の若者を虜にして、いわゆる社会現象にまでなってしまうほどの影響力があるボクサーですね。
そういうイメージが先行しているのですが、彼のボクシング技術たるや、かなり高度なテクニックが満載していることは、ボクシング経験者であれば、お判りでしょう。
その彼の技術的側面に関して、書きたいと思います。
■ 素早く多彩なフットワーク
先ず、彼を語る上で、フットワークはとても重要なことです。リングを丸く時計回りに回る、いわゆるサークリングをラウンドの早いうちは、彼は必ず行うボクシングをしていました。そして、ヒットアンドアウェイ、つまりステップインして、ジャブを打ち、ステップバックをして距離をとる、この動作の連続で、彼は試合のペースを作っていました。おそらく彼は、アウトボクシングが得意なのでしょう。時々、パフォーマンスとして、モハメドアリのシャフルもやっていました。かなり器用な選手ですね!
■ 多彩なリードパンチとリードによる左ボディブロー
参考動画です、。
スパーリング風景や、トレーニング風景などです。。
★ 浪速のジョー。。辰吉丈一郎❗️動画 ★
なかなか素晴らしい動画ですね^_^、。
彼は、実は左ききなのです。それ故に、左からの攻撃が多彩なのです。フリッカー気味のジャブからの、フックへの繋ぎ、彼の代名詞である左ボディーブローへの繋ぎ、まさに、彼の左は世界を制しています。一番印象的なのは、27歳の時の、シリモンコン戦の5ラウンドにとったダウンの左ボディーですね。あれで、試合の大局が辰吉選手に渡ったと言っても過言ではありません。
彼のリーチは、171センチあり、身長より10センチ長いのです。なので、普通のバンタムのボクサーのパンチより、めり込んでいくのです。それ故に、あのボディを食らってしまうと、マットに沈んでいくボクサーが多いのです。これが最大の辰吉選手の特徴ですね。
■ パンチの回転の速さと、身体の柔らかさ
辰吉選手は、パンチの回転が速いです。それは、身体が柔らかいことが大きな理由であると思います。右肩甲骨、左肩甲骨の動作の連続がパンチの連打ということですが、骨格が柔らかい方がパンチの回転速度が上がります。彼の動作をみると、しなやかさがあります。もちろん、ステップも柔らかいです。あの連打攻撃には、こういう理由もあります。
ガードをだらりと下げていたのも、なるべく肩の力を抜いた状態からパンチを打つためでした。
■ まとめ
柔らかいステップ、柔らかい骨格が彼の全盛期のボクシングを支えていました。ただ、残念ながら、8戦目以降は、眼疾により、やや動作に若干のぎこちなさが加わってしまい、無理に正面からの打ち合いに挑んだりしてしまう姿がありました。網膜剥離がなければ、テクニシャン辰吉丈一郎が多く見れたかもしれませんね。